日蓮大聖人様のお言葉
令和4年7月
- 『守護国家論』
- 正元元年(1259)
- 聖寿 三十八歳
- 著作地 鎌倉松葉谷
【解説】
『守護国家論』は、『立正安国論』とならぶ日蓮大聖人様の代表的な著述です。
正しい仏法が忘れられて人々の心が荒れすさび、世の中が乱れる末法(まっぽう)の時代に在って、人々の生活を救い国家に安寧をもたらすのは、唯一法華経の教えと御題目の信仰のみであることを説き明かされています。
この文の意味は、どうしてわざわざ今生きている世界を捨てて、死後の空想上の浄土を求めるのか≠ニいうことですが、お祖師様の信仰の最も大切な真理が此処にこめられています。
人生には色々な悩み苦しみがつきものです。人生のあらゆる問題から逃れて他の世界を願う信仰は現実逃避の考え方に通じ、何ら解決することはありません。現実にしっかり向き合ってこそ問題の解決につながるのです。
南無妙法蓮華経の信仰は、現実の問題に真正面から取り組む現実に成仏があり、その成仏を生きる日々刻々の中に御本佛様の大いなる慈悲を感じることが出来、御本佛様に抱かれて生きる現実世界そのものが自分にとっての浄土なのだという悟りに到達することの出来る現実肯定の信仰なのです。
(令和4年7月)