日蓮大聖人様のお言葉

平成28年10月

四条金吾殿御返事しじょうきんごどのごへんじ
  • 建治三(1277)年
  • 聖寿 五十六歳
  • 著作地 身延山

【解説】

四条金吾公からの供養の品々とお手紙に対するお返事です。

金吾公は、実直で曲がったことの嫌いな性格でした。それがもとで、しばしば主君から誤解されたり同僚から妬まれたりすることがあったようです。日蓮大聖人様は金吾公のために、折にふれて心の持ち方をご教示されていました。

「八つの風」とは、人の心を動揺させるもののことで、利(うるおい)・衰(おとろえ)・毀(やぶれ)・誉(ほまれ)・称(たたえ)・譏(そしり)・苦(くるしみ)・楽(たのしみ)の八つを云います。これらの風が心に吹いて来ても平常心を保てる人を「賢人」というのだとお示しです。

複雑な世間を生きる私たちが平穏で幸せに生きようとするならば、いかなる時も謹み深く、他人を敬うことの出来る温かい心の持ち主であろうとすることが大切です。御守護神様は、まさにそのような人の心に住まわれ、守り導いて下さるのです。

「賢人」とは、単に知識が豊富で頭の良い人のことではなく、心が温かで思いやりに富み、他人に対して誠実な心の持ち主のことなのです。

(平成28年10月)