日蓮大聖人様のお言葉

平成30年12月

波木井殿御書はきいどのごしょ
  • 弘安五(1282)年
  • 聖寿 六十一歳
  • 著作地 武州池上

【解説】

日蓮大聖人様が入滅の六日前に認められたお手紙の一節です。身延山の寺領を提供してお祖師様の生活を守り給仕に勤めた波木井実長公に宛てて、給仕の尊さを称え、自分の死後は身延山にお墓を建てること、そして未来際までも自分の魂は身延山に棲み続けることを述べられた御遺言ともいうべきものです。

そして、この御言葉は葬儀の引導文に引用され、故人に死後の安心を与える尊い御導きの御文でもあります。人生の最後を迎える時、「死後どうなってしまうのだろう」ということは、誰しもとても不安な問題です。

お祖師様は、法華経と御題目の信仰に精進した者には、霊山浄土の北東の渡り口で必ず待っていて下さるとお示しです。お祖師様が待っていて下さることを素直に信じてその懐へ飛び込んで行けば良いのですから、私たちを成仏に導いて下さるありがたい御言葉です。

しかし、人によって信仰心の深さや強さはそれぞれ違うものです。お祖師様は、信仰に無関心だったり御題目に不信感を抱いてたのでは、安らぎどころか霊山浄土に到達することは困難であることを強く戒められています。「必ず待ち奉る」というお祖師様の御言葉を確信出来るようになるには、今の内から一遍でも多く御題目を唱え、御本仏様・お祖師様に近付けるような堅固な信仰を養うことが肝要です。

(平成30年12月)