日蓮大聖人様のお言葉
平成31年3月
- 『崇峻天皇御書』
- 建治三(1277)年
- 聖寿 五十六歳
- 著作地 身延山
【解説】
お祖師様に最も深く帰依した四条金吾頼基へのお手紙の一節です。
四条金吾は誠に熱心な信仰家でしたが、短気な一面を持っており、法華経の信仰に無理解な主人江馬氏とのトラブルを抱えていました。お祖師様は、臣下の蘇我馬子に暗殺された崇峻天皇の故事を引いて、その短気を諌めようとされたのです。
御本仏お釈迦様がこの世にお生まれになった真の目的は、まさしく『法華経』を説くことであり、それを「出世の本懐」と云います。『法華経』は南無妙法蓮華経の御題目によって、信仰する人を生きた成仏へと導きます。その人の生き方の中に御本仏様の慈悲がにじみ出て来るようになり、「人の振舞」が知らず知らずの内に優しく思いやりのある「仏の振舞」に近づいて来るのです。
お祖師様の御指導により、短気な性格のために人間関係で損をしていた四条金吾も、御題目で心を磨き、主人の江馬氏や周囲の人々とのトラブルを乗り越えていったのでした。
(平成31年3月)