日蓮大聖人様のお言葉
令和4年2月
- 『弥源太殿御返事』
- 文永十一年(1274)
- 聖寿 五十三歳
- 著作地 佐渡
【解説】
北条弥源太入道は、北条家一門の出身で幕閣の要人でした。自分自身が死と直面するような大病を患ったことで日蓮大聖人様の慈愛あふれるお導きに接して御題目の信仰の道に入りました。このお手紙は、病気平癒を願う弥源太入道がお祖師様にご供養を送られたことへの御礼のお手紙であり、死後の世界でも法華経と御題目の信仰の功徳があれば恐れることはないとお示しになられた部分の一節です。
法華経は三世の諸仏も成仏の杖とする尊い御教えですが、末法の今の時代はお祖師様のお導きによる御題目をこそ杖・柱と頼みなさいとお示しです。
高く切り立った山や足場の悪い山道に在っても良き杖をついていれば倒れないように、南無妙法蓮華経の御題目は、死出の山(死後生前の業障を背負って一人で越えなければならない険しい旅路)において、杖とも柱ともなって成仏の方向へ導いてくれるのです。
不信心のままで死を迎えてしまってから後悔しないように、生きている内に御題目の信仰の功徳を積み始めることが重要です。
今から少しずつ信仰に関心を持ち、素直に受け容れることで、人生は豊かになり、死後の成仏もより確かなものとなるのです。
(令和4年2月)