日蓮大聖人様のお言葉

平成24年10月

うに
かい甲斐なき
ものなれど
約束やくそくもうこと
たがへぬこと
にてそうろう

上野殿御返事うえのどのごへんじ
  • 建治元(1275)年
  • 聖寿 五十四歳
  • 著作地 身延山

【解説】

約束を守るということは、当たり前のように思えて、実はなかなか困難なことです。

約束を違える事の無い人間関係は、理想ではあっても現実にはあり得ないでしょう。

しかし、この世で生きるということは、夫婦・家族・職場・学校・地域社会・国・国際関係等々さまざまな人との係わりがあり、色々な約束事で結ばれています。そして、一つ約束を破ると、それが他に影響を及ぼし、いつしか生活に混乱を生じ支障をきたしてしまうことになります。

そもそもこの世に生を享けたということは、御本仏様との約束に他なりません。人生は与えられたものではなく、その約束のために、自ら両親や家族をも選んで、願って今の環境に生れて来たのです。これを願生(がんしょう)といいます。私たちはただ単に生かされているのではなく、迷い苦しみながらも御本仏様との約束を果たしつつ、人生のレールの上を進んでいるのです。

取るに足らない些細な約束でも、この世のすべての約束は、等しく御本仏様との誓いなのです。違えることのないよう真面目に取り組む心掛けこそが、とても大切なのです。

(平成24年10月)